会津高原の沼沢湖のほとり、木々の緑と花々に囲まれた丘の上は、妖精が本当に住んでいる土地のように思えます。
 美術館はイギリスのマナー・ハウス様式で、尖塔やバルコニーがつき、内部は吹き抜けで天井が高く、中二階の回廊も展示できるという、ケンブリッジにあるフィッツ・ウィリアム美術館のような構造です。天野喜孝デザインのステンドグラス「妖精たちの月夜の共饗宴」ほか、妖精にまつわるアートや資料が展示されています。二階には温かく火の燃える暖炉を囲んで、何代にもわたって「フェアリー・テールズ」が語られていたヴィクトリア朝時代の居間が再現され、妖精が取換え児(チェンジング)をする「ゆりかご」、糸紡ぎ妖精ハベトロットやトム・チット・トットが使ったと思う「紡ぎ車」が置かれていて、館長の井村君江氏による「妖精の国」のビデオ上映(15分)も興味深い。
 例年4月から11月という限られた期間、企画展が開催。
2022年の企画展は、「サロメ幻想 〜ワイルド、ビアズリーから現代作家まで」
オスカー・ワイルドの「サロメ」をキーワードに、うつのみや妖精ミュージアムの貴重な資料の展示とともに21人の現代作家によるサロメをテーマとして作品の競演。
マンタム氏による空間造形で、ここでしか見ることのできない空間が展開されている。

◎参加作家(50音順) 愛実 Ayumi、大木美津江、小笠原勝、妃 耶八、木村龍、小峰恵子、相良つつじ、さちこ、JUMPEI TAINAKA、多賀新、T.T.Angie、戸田和子、二階健、衣、林美登利、マンタム、三浦悦子、村田英子、森園みるく、山下昇平、山村俊雄

◎会期 2022年4月29日(金)〜11月10日(木)
◎場所 金山町妖精美術館
https://www.town.kaneyama.fukushima.jp/site/kanko/museum.html