概要

2024年度のプリツカー賞は山本理顕さんに決定した。非常に喜ばしいことである。そこで、プリツカー賞とはどのような賞なのかを簡単に振り返り、また、山本理顕さんの受賞についても公式ホームページを参考に記載する。
プリツカー賞とは?
建築に興味がない方でも一度は聞いたことはあるのではないだろうか。一般の報道でも日本人が受賞すると多く取り上げられる印象がある。例えば下記のような記事だ。
The Pritzker Architecture Prizeというプリツカー賞に関する公式ホームページが存在する。こちらの公式ページにはプリツカー賞の概要、沿革、歴代の受賞者と受賞理由などの情報が記載されている。本記事では基本的にこのページの内容に基づいて記載する。
プリツカー賞は、1979年にシカゴのプリツカー家が彼らのハイアット財団を通じて設立した国際的な賞である。以下のような存命の建築家/建築家たちを称える賞だそうだ。
- 才能、ビジョン、コミットメントの高品質な組み合わせを示す建築を構築している
- 建築の芸術を通じ、人類と建築環境に対して一貫して重要な貢献をしてきた
しばしば「建築のノーベル賞」と「職業の最高の名誉」と呼ばれる。賞には10万ドル(米国)と銅製のメダリオンが含まれる。実際、手続きや報酬についてはノーベル賞をモデルとしているそうだ。
プリツカー賞はハイアットホテルのオーナーであるプリツカー家が由来だ。プリツカー家は教育や、化学、医療、文化的な活動に対して支援してきたことで知られ、Jay・A・Pritzkerは妻のCindyと共にこの賞を創設した。息子の Tom Pritzker曰く、ミース・ファン・デル・ローエなどの偉大な建築家によって作られたシカゴの建築が彼らの建築芸術を意識させる一方、ホテルの設計に携わることで建築が人間の行動に与える影響を認識するようになり、そのような意識が建築家を称える賞のアイデアにつながったそうだ。彼らは建築に対する一般認識を高め、建築業界内の創造性を刺激・促進することを期待した。
日本人歴代受賞者
今回の山本理顕氏が受賞することにより、国籍別では日本人が最多の9人となった。


- 1987年:丹下健三
- 1993年:槇文彦
- 1995年:安藤忠雄
- 2010年:妹島和世, 西沢立衛(SANNA)
- 2013年:伊東豊雄
- 2014年:坂茂
- 2019年:磯崎新
- 2024年:山本理顕
日本人以外では、レム・コールハース氏やザハ・ハディド女史も受賞している。各受賞者の受賞背景などは先述した公式ページに記載されている。ご興味ある方はぜひそちらをご参照ください。
2024年 山本理顕さん受賞!!
山本理顕さんは1945年生まれ。東京大学生産技術研究所で原広司に研究生として師事し、その後山本理顕設計工場設立、工学院大学教授や横浜国立大学大学院教授などを歴任した。有名な建築としては、横須賀美術館、埼玉県立大学、広島西消防署などがある。山本理顕さんが2024年のプリツカー賞に選ばれた。
評価されたポイントとしては、パブリック空間とプライベート空間の間の親和性を確立し、アイデンティー、経済、政治、インフラ、住宅システムなどの差異・多様性を超えて調和の取れた社会を構築することへの寄与である。
山本氏は、伝統的な自由とプライバシーの概念を解体しつつ、住宅を隣人との関係なしに商品化してきた長年の状況について疑義を唱えている。現代の建築的なアプローチでは、過度にプライバシーを重視し、社会的な関係の必要性を否定している。そういった中で、山本氏は個人の自由を尊重しながらも、建築空間の中で社会として共に生活することで、文化や生活を超えた調和を育むことができることができるとする。こうしたコミュニティーの生成に対する空間的アプローチが評価されたと思われる。
※その他、詳しくは公式ページのannouncementを参照ください。
結び
改めて山本理顕さん、おめでとうございます!!!!!