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桂離宮初訪問 in 京都


概要

 先日、京都にある桂離宮・修学院離宮へ行ってきた。ブルーノ・タウトが再発見したことで著名な桂離宮であるが非常に洗練された空間であった。その歴史などに触れる。

そもそも離宮とは?

 離宮とは、一般的には、天皇や皇族が日常の宮殿とは別に、静養や余暇を過ごすために設けた別邸のことを指す。主に自然豊かな場所に建てられ、庭園や茶室などが配置されていることが多い。

 現存する日本の著名な離宮は桂離宮(かつらりきゅう)と修学院離宮(しゅがくいんりきゅう)である。いずれも京都市内に存在している。

桂離宮とは?

 古くは平安時代に八条宮家の別業(別邸)として初代智仁親王により創始された。現在の姿に整えられたのは17世紀中頃と考えられている。庭園と建築が一体となった美しい景観が特徴で、日本の伝統的な建築技術と美学が凝縮されている。特に、庭園は池泉回遊式庭園として知られ、訪れる者を自然の美しさと静寂に引き込む。その設計は、四季折々の風景を楽しめるように工夫されており、春の桜、夏の青葉、秋の紅葉、冬の雪景色と、どの季節に訪れても異なる魅力を感じることができる。


 建築物もまた、桂離宮の魅力を高めている。書院造りの代表的な建築である「古書院」や「中書院」、そして「新書院」など、各建築物は歴史的価値が高い。特に、月見台や舟遊びに使われた池など、当時の貴族たちの優雅な生活が垣間見える。また、桂離宮の茶室は、簡素でありながらも洗練された美が追求されており、茶の湯の精神を感じることができる。

桂離宮は予約が必要・・・

 桂離宮は行きたい時にフラッと気軽に立ち寄れる場所ではない。訪問には事前予約が必要で、ガイド付きのツアーでのみ見学が可能である(料金は1000円)。Webページで予約すると、メールが届き、抽選に通ると参加可能となる。つまり、Webページから予約できたからといって安心できず、抽選に落ちると参加できないようだ。予約は結構早く埋まるので注意が必要だ。私が訪問した際は、15-20人程度でおおよそ1時間程度周遊した。数グループが少しずつ時間をずらして同時並行的に周遊している。


 なお、同日に修学院離宮も訪問した。修学院離宮は高低差があり、かつ敷地が広いため、周遊するのは中々疲れる。桂離宮は逆に高低差もなく敷地もそこまで広くないため周遊に集中できた。


 桂離宮へ電車で行く場合、最寄り駅は阪急電鉄の桂駅となる。桂駅からは1km程度あるため、徒歩15分ほどかかる。

桂離宮が再評価されるきっかけを作ったブルーノ・タウト

 ブルーノ・タウトは、1880年生まれのドイツの建築家である。ナチス政権から逃れる中で、「日本インターナショナル建築会」の支援を受けて日本に滞在した。彼はこの期間に、日光東照宮や桂離宮・伊勢神宮を訪問し、日本の伝統建築や庭園に対する理解を深め、その美しさを広く伝えることに貢献した。


 タウトは二項対立的に日光東照宮と桂離宮を評する。日光東照宮を17世紀江戸徳川時代の政治権力の誇示のための建築であると喝破し、中国風の豪華絢爛な建築を模倣したものと評する。一方、桂離宮は伊勢神宮の精神を継承し、日本的な簡素明澄な建築であると絶賛した。彼の評価と紹介により、桂離宮は世界的に再評価されることとなった。


 タウトが称賛した桂離宮は、簡素でありかつ自然との調和を重要視する建築であるわけだが、巨匠ル・コルビュジエを中心としたモダニズム建築は、ある種の普遍的なデザイン原則に基づく。その土地・環境との連続性よりも建築自体の機能性や美学に重点を置いた建築であると考えられるが、そういった意味では対立的である。

桂離宮風景

 緑の美しさ、建築と自然の調和、素朴かつ機能的な空間。少ないが写真を貼る。

結び

 今回初めて訪問してみたが、改めて京都を訪れた際には行きたい。訪問するたびにより味わい深く感じられる気がしている。予約する必要があるので若干手間ではあるが、一度訪問してみることをおすすめする。修学院離宮についても今回同日に訪問したのでいずれ記事にしたい。