記事

磯崎建築巡礼〜北九州編〜


概要

 この記事では磯崎新氏の北九州市における作品群を取り上げる。2019年にプリツカー賞を受賞後、2022年の年末にご逝去されたポストモダン建築の巨匠は、国内外で多数の作品を手掛けた。九州においても北九州・大分など様々作品があるが、今回はそのうちの北九州の作品にフォーカスして紹介する。

磯崎新とは?

 磯崎新(いそざきあらた)は、日本のポストモダンを代表する建築家である。1931年に大分県に誕生した。東京大学工学部建築学科卒業。日本を代表する建築家である丹下健三に師事する。代表作には大分県立図書館、つくばセンター、洛北座、ロサンゼルス現代美術館(MOCA)などがある。2019年にプリツカー賞を受賞し、建築界で高い評価を得ており、多様なスタイルと新しい技術の探求を特徴とし、国内外で大きな影響を与えている。

 磯崎は北九州市において、北九州市立美術館、北九州市立図書館、西日本総合展示場本館など、北九州の多くの建築プロジェクトに携わった。また、出生地である大分県でも磯崎の作品は数多く存在している。大分における作品群についてはまた別途紹介する所存である。

北九州における磯崎建築

北九州市立美術館

 磯崎新の設計で1974年に竣工。「図書館戦争」のロケ地としても有名な北九州市立美術館(本館)。聖堂をイメージして設計され「丘の上の双眼鏡」と呼ばれるらしい。北九州八幡区の小高い丘に位置し、八幡区が一望できる。併設するカフェからの眺望も素晴らしい。

 なお、北九州市立美術館は分館も存在している。小倉駅近くのリバーウォーク北九州というショッピングモールの5階に位置する。2024年6月現在休館している。

北九州市立中央図書館

 北九州市立中央図書館は、磯崎新が設計したもう一つの代表的な作品である。1975年に開館し、そのユニークなデザインと機能性で知られる。ヴォールトと呼ばれるかまぼこ状の天井が特徴的である。個人的な感想では、以前の訪問時よりも建物を覆う蔦が育っており、小倉城周辺の自然との調和がさらに進んだ印象がある。図書館内部は開放的な空間となっており、読書や学習に適した環境が整っている。中央図書館も映画「図書館戦争」のロケ地となった場所である。

西日本総合展示場 本館

 西日本総合展示場本館は、1974年に竣工した磯崎新設計の建築物で、博覧会や各種イベントの会場として使用されている。特徴的なフォルムと機能性を兼ね備えたこの建物は、北九州のランドマーク的存在となっている。

北九州国際会議場

 北九州国際会議場は、磯崎新が設計したもう一つの著名な建築物で、多くの国際会議やイベントが開催される。赤や黄などの多彩な色が用いられており、波打った形状や微妙に角度のついたファサード特徴的である。そのユニークなデザインと広大な会議スペースは、多様な要件に対応可能で、北九州市のビジネス文化を表象している。

結び

 今回は北九州における磯崎新建築を紹介した。磯崎の建築は、北九州市の風景に個性と特色を加えており、観光客や建築愛好家にとって見逃せないスポットとなっている。また、磯崎建築とは離れるが、北九州には小倉場庭園などご紹介したいスポットもある。いずれ続編を書きたい。